誰も知らない
この豊かな日本においても、親のネグレクトによって、理不尽な境遇に巻き込まれる子どもたちは決して少なくない。
最悪、餓死してしまうこともあります。
いくつかの映画賞を受賞した『誰も知らない』。
この映画もベースは実話であるし、近年でも度々ニュースになって世間を騒がせています。
実は、理解の出来ないどこか遠くの話ではなく、私たちの身の回りで日常的に溶け込んでいて、決して特別な出来事ではないのです。
親も悪い人ばかりではない
親は、心身共にボロボロになるまで、自分を追い込んで追い込んだあげく、男性に走って行ってしまったり、鬱になってしまったりで、結果的に家庭が崩壊する。
子どもたちが生きにくくなってしまう理由として、母子家庭といった環境が特に目立つのだそうです。
ちなみに「誰も知らない」も母子家庭でした。
頼れる親戚、身内がいるのならまだ救いはあるのですが、そのような頼れる存在がない場合が問題です。
男性からの養育費がまともに支払われるケースは滅多になく、女手一つでやりくりをしなくてはならないにも関わらず、子どもがいることによって時間の制約がおき、待遇の良い仕事に就けないことが多く、大方の世帯が貧困に喘いでいます。
生活保護を受給するにも後ろめたさがあり、申請する人が少ない。
このことは、僕の身内にもある話なのでよくわかります。
最近では特に、生活保護に対する世間の見方は厳しさを増していますので、余計なのかも知れません。
だとしても、僕としては、他人の目なんかを気にするよりも、安定して生き延びることが何よりも優先されると思うのですが、どうしても受け入れられないようです。
このことでもわかるように、お母さん方は基本的に生真面目です。
なんとか自力で生活を成り立たせようと、パートを何個も掛け持ちし同時に子どもの養育もして、休む間などありません。
その努力が報われるならいいのですが、報われないことも多々あります。
子どもが育つ環境を整える
ハッキリとこうした方がいいといったことは言えないのですが、ハード面は使えるものを総動員して整備していかなくてはならないでしょうし、ソフト面の人の考え方、行動も変えていかなくてはならないでしょう。
子どもにまったく非はありません。
例え家庭が崩れたとしても、周りの大人たちで子どもたちが当たり前に生きていけるような環境を、整えていかなくてはならないでしょう。
ただ、無理矢理にでも親元から子どもを引き離すようなお節介行為は、やめた方がいいです。
子どもからすれば、どんなに酷い親であっても、やはり大好きで頼れる身近な大人なんです。
そうではなく、SOSを出せる環境を整えなくてはならない。
ですが、これがまた、生身の人間同士では難しい。
互いの感情が邪魔をする。
最近、注目されている子供食堂も、結局は、本当に苦しんでいる子どもが来ずに、ノリの良い人たちの場になってしまっているとの話も聞きます。
親も居心地の悪さを感じるし、子どもも居心地の悪さを感じているのでしょう。
なかなか、表面化されないんですよね。
また、このようなことに、ほとんどと言って良いほど政治は役に立ちません。
ハード面を整えるには、多少は有効でしょうけども、誰がやっても政治は国民の生活から乖離するのが常。
実際に生活している各々の感じ方や考え方が重要。
なので、ハード面は早くても、ソフト面はかなりの時間を要してしまうでしょうね。
非常にもどかしいのですが。